「命」の感想
いのち
初出:「改造 第35巻第3号」改造社、1954(昭和29)年3月1日

室生犀星

分量:約36
書き出し:お咲は庖丁をとぎ、淺吉は屋根の上をつたひながら※し茅を施してゐる。一萬戸ある金岩の町は、火見櫓をまんなかに抱いて、吼える日本海のぎりぎりまで町裾を捌いてゐる。春寒い曇天はきたない瓶の色をして、硬くるしい息窒るいやな景色である。町はづれの松林のなかの一軒家、淺吉は噴井戸にゐるお咲の背中を見ながらいつた。「お咲さ。」「何んだ。」「お前な、何時までかうやつてゐても埒があかないからな。」「どうせいといふの...
更新日: 2025/05/27
65c8aadc88adさんの感想

双之川喜1941  葦の 茂る 川筋 に 生きる 女は 自分の 出自を 気にしている。母親が どのような 死にざまで あったのか 三味を 弾く 様子は どんな だったか わざわざ 聴きに 行ったりは する。うずら撃ちの 男に 銃で 撃ち 殺して くれるように せがむ。断られると 毎日 とりを 危めているのに 人は 殺せないのかと 毒づいたり する。命の 周辺には 関心を 寄せるけど 粗末に 扱うことも 平気で やってのける。葦原の 描写は 美しい。