「我が生活」の感想
我が生活
わがせいかつ

中原中也

分量:約7
書き出し:明治座に吉右衛門の勧進帳が掛かつてゐる、連日満員である——と電車の中で隣り客の話してゐるのを聞いて、なんとなく観に行きたくなつたのであつた。観れば何時もながら面白く感ずるのだが、観るまでは大変憶怯で、結局一年に一度か二度しか歌舞伎を覗くことはないのが私のこれまでである。「観たいな……観よう!」と、電車が濠端を走つてゐる時思ひ定めた、「でもまた観ないでしまふんだらうな」とそのすぐあとでは思ふのだつた...
更新日: 2024/04/17
19双之川喜41さんの感想

 中也(ちゅうや)は 勧進帳(かんじんちょう)を 観(み)たいと 思っていても ぐずぐずと 先延(さきの)ばしに していたあげく 漸(ようやく)く 重い腰(こし)を 上げる。それでも 空腹(くうふく)のあまり 途中(とちゅう)て゛劇場(げきじょう)から 出てきてしまう。中也(ちゅうや)は 「夢を 見ようとも 見まいとも しないで 私は 夢を 見てしまう」という。夢中毒(ゆめちゅうどく)が 詩に 昇華(しょうか)するのかも知れない 想った。

更新日: 2021/08/20
decc031a3fabさんの感想

知識のひけらかしではなく、自分を素直に表す手段が、自然に「詩」であった。他人の目は気になるけれども…と考えた起こりが、勧進帳を観る観客たちや、銀座の群衆のなかに身を泳がせたからこそだった。 他人や社会があるから、却って自分を再確認できるものと、印象的な出来事だったのだろうな。

更新日: 2018/10/18
大宇宙の少年さんの感想

映画を観に行って観客がうるさいとか、腹が減ったが金がないとか、そういう感覚は昔の人も同じだったのだと感じ、共感しながら読めました。 後半の夢とは他の人でいうところの空想のなのでしょうか。詩人とはこういう人なのかなと思いました。

更新日: 2018/05/26
4e826f260cfdさんの感想

人間味がすごいある。作者はまるで、現代の大学生のようだと思う。 文がすごく素直で良いな、中原中也好きになった。