ロマンスと縁談
ロマンスとえんだん
初出:「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1951(昭和26)年6月分量:約36分
書き出し:大海に釣らん会社に勤めること三年余、僕も少し世の中が分って来たような心持がする。公私、いろ/\と教えられるところがあった。公《こう》に於ては、上のものに認められなければ駄目だと悟った。出世の階段を自分の足で一段々々上って行くのだと思うと違う。自分の足もあるけれど、上のものが認めて引っ張り上げてくれるのである。それだから空々寂々《くうくうじゃくじゃく》では一生下積みを免れない。誠心誠意に努力するもの...