マンパウル・トーマス
すべては宙に浮かんでいなければならぬ。 暦も把握せず、時計も持たないアルプレヒト•ファン•デル•クワアレンは、行き先のわからぬ電車に飛び乗って終着駅まで寝ることで、自分の居場所さえ曖昧にした。 赤が印象的に使われる。とくに赤と白の対比は苺とクリームという甘い喩えで際立っている。 アルプレヒトの心拍と私の心拍が同調したのは、話の進め方の上手さによるだろう。