「剣の四君子」の感想
剣の四君子
けんのよんくんし

05 小野忠明

05 おのただあき初出:「講談倶楽部 七月号~九月号」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年7~9月

吉川英治

分量:約73
書き出し:神子上典膳《みこがみてんぜん》時代一「松坂へ帰ろうか。松坂へ帰ればよい師にも巡《めぐ》り会えように」典膳《てんぜん》は時々考えこむ。彼も迷い多き青年の二十歳へかかりかけていた。郷里伊勢の松坂は武道の府であった。世に太《ふと》の御所とよばれた国主の北畠|具教《とものり》卿は、卜伝《ぼくでん》直系の第一人者であった。その権勢、その流風を慕って、由来、伊勢路の往来には武芸者のすがたも多い。神子上《みこが...
更新日: 2021/09/24
ハルチロさんの感想

本作品中に著される「小野忠明」は、時代劇好きの方なら耳にされたことのある「小野派一刀流」の開祖であります。本作品は、一刀流の始祖である伊藤一刀斎の元での修行時代と徳川将軍家の師範時代に分かれています。個人的には、伊藤一刀斎、小野忠明に興味があり、色々な作家の方々の著述に触れているのですが、本作品における小野忠明の描写は、如何にも史実に沿い、思いきった著者の想像が余り入っていないのが良いように思います。本作品を読まれてから、他の作家の著す「小野忠明」に触れられると良いかもしれません。