奇談クラブ〔戦後版〕
きだんクラブ〔せんごばん〕
04 枕の妖異
04 まくらのようい初出:「月刊読売」1947(昭和22)年3月分量:約32分
書き出し:プロローグそれは四回目の奇談クラブの席上でした。その日の話し手|桜井作楽《さくらいさくら》は、近頃では珍らしい和服姿——しかも十徳を着て頤※を生やした、異様な風体《ふうてい》で、いとも悠揚《ゆうよう》と演壇に起ったのです。真珠色の光の中に、二十四人の会員と、その半数ほどの臨時会員は、美しき会長|吉井明子《よしいあきこ》夫人を中心に、期待に張り切って、この一風変った話し手を見詰めて居ります。「さて皆...