猟色の果
りょうしょくのはて
初出:「娯楽世界」1949(昭和24)年2月分量:約7分
書き出し:女性というものの平凡さに、江島屋宗三郎《えじまやそうざぶろう》は、つくづく愛憎《あいそ》を尽かして居りました。持った女房は三人、関係《かかり》あった女は何十百人、武家の秘蔵娘から、国貞《くにさだ》の一枚絵になった水茶屋の女、松の位から根引いた、昼三《ひるさん》の太夫《たゆう》まで、馴れ染めの最初は、悉《ことごと》く全身の血を沸《たぎ》らせるような、魅惑を感じたにしても、一度《ひとた》び手活《てい》...