「それから」の感想
それから
それから
初出:「東京朝日新聞」、「大阪朝日新聞」1909(明治42)年6月27日〜10月4日

夏目漱石

分量:約485
書き出し:一誰か慌《あわ》ただしく門前を馳《か》けて行く足音がした時、代助《だいすけ》の頭の中には、大きな俎下駄《まないたげた》が空《くう》から、ぶら下っていた。けれども、その俎下駄は、足音の遠退《とおの》くに従って、すうと頭から抜け出して消えてしまった。そうして眼が覚めた。枕元《まくらもと》を見ると、八重の椿《つばき》が一輪畳の上に落ちている。代助は昨夕《ゆうべ》床の中で慥《たし》かにこの花の落ちる音を聞...
更新日: 2018/08/20
b9ef941530ccさんの感想

夏目漱石の『それから』は平岡の妻三千代と友人の代輔の三千代を、どうするこうするの問答、いたわる世話するのやりとり、三千代と代輔が結婚するしないのやりとりの中で、代輔らの心理描写、こころの葛藤など、登場人物の意地らしさや心情の変化動きを漱石なりにだらだら描写したもの。結局タイトルの『それから』の如く、結末は、それからどうなるの?

更新日: 2017/07/28
heideさんの感想

殆ど自分のことが書いてあると思った。 しかし、こんな風に世の中を見ることも、生活とその反対に苦しむことも、もはや底を割ってしまった現代では、代助の苦しみはもっと手前にあって、まだ幸せのように思われた。 他の感想に、「代助はこれから惨めな人生を歩むのだ」と暗に生活力のなさからその先が暗いと書くものがあった。 それをそのまま受け取って読んでいるなら、この小説を読んだ意味があまりないと思った。 これからが惨めなら今までも惨めなはずだ。 これは普通の生活の中にいる人にはわからないのかもしれない。それならば小説はいらないかもしれない。