夏目漱石の『それから』は平岡の妻三千代と友人の代輔の三千代を、どうするこうするの問答、いたわる世話するのやりとり、三千代と代輔が結婚するしないのやりとりの中で、代輔らの心理描写、こころの葛藤など、登場人物の意地らしさや心情の変化動きを漱石なりにだらだら描写したもの。結局タイトルの『それから』の如く、結末は、それからどうなるの?
殆ど自分のことが書いてあると思った。 しかし、こんな風に世の中を見ることも、生活とその反対に苦しむことも、もはや底を割ってしまった現代では、代助の苦しみはもっと手前にあって、まだ幸せのように思われた。 他の感想に、「代助はこれから惨めな人生を歩むのだ」と暗に生活力のなさからその先が暗いと書くものがあった。 それをそのまま受け取って読んでいるなら、この小説を読んだ意味があまりないと思った。 これからが惨めなら今までも惨めなはずだ。 これは普通の生活の中にいる人にはわからないのかもしれない。それならば小説はいらないかもしれない。