時は北宋末期、8代皇帝の時代、伝説的任侠集団『梁山泊』の誕生(新生)から壊滅までを描く古典小説の傑作。 本作はそのうちの頭目(幹部メンバー)108人が集結するまでが描かれている。 つまり、下の方が書かれているような『中途半端な所で切れて残念』という感想はそれこそ残念で全く当たらず、水滸伝という壮大な物語の、『一つの区切り方』と考えて頂きたい(『七十回本』という分け方)。 ※他の著者では最後まで(梁山泊が壊滅するまで)を描いたもの(百回本、百二十回本)も存在するが、そもそも原作が現代風に言えば『バッドエンド』な作品であり、七十回本で一つのクライマックスを迎えてはいる訳です。決して中途半端ではない。 吉川の中国古典作品では『三国志』が有名で私も好むが、それと根本的に違うのは(少なくとも表面的には)平和な時代が背景なだけに主要登場人物に軍人・武将だけでなく町人や遊び人、居酒屋の主人など階級を越えて出てくるところ。そんな市井の人々の何気ない行動によって物語が大きく変転し、次々に新たな人物の登場を促していく仕掛けは見事で感動を覚えます。 長い作品ですが、『周回』するとどんどん味が出てきます。勉強不足の感想にどうか引っ張られず、騙されたつもりでぜひ読んで頂きたい作品です。
中国の古典娯楽本。一度は読んで損はない
折角3500ページも読み進めていたにも関わらず、最後は途中で話が切れるという始末。これは残念でした。