銭形平次捕物控
ぜにがたへいじとりものひかえ
012 殺され半蔵
012 ころされはんぞう初出:「オール讀物」文藝春秋社、1932(昭和7)年3月号分量:約31分
書き出し:一「平次、少し骨の折れる仕事だが、引受けてはくれまいか」若い与力《よりき》の笹野新三郎は、岡っ引風情の銭形平次に、こんな調子で話しかけました。「口幅ったいことを申すようで恐れ入りますが、お頼みとあれば、どんな事でも、旦那」先代から厄介になっている銭形の平次としては、首をくれと言われても、断られた義理ではありません。それに平次も笹野新三郎に劣らず、若さと覇気と、感激性を持っていた頃のことです。「ほか...