けすとえくえろ
けすとえくえろ
探偵小説は芸術か
たんていしょうせつはげいじゅつか初出:「新青年」1935(昭和10)年3月号分量:約6分
書き出し:甲賀三郎氏の探偵小説についての論文は、同氏の小説とおなじく、正直に正面からぶつかったもので、すこぶる読みごたえのあるものだが、正面からぶつかっていられるだけ、部分的には一つぐらい私の考えと違うところがないでもなかったが、これはむしろ当り前で、人間の顔が一人一人ちがうと同じであろう。「今尚探偵小説は芸術小説たり得るという説をしている人があるのに驚く。或る約束に縛られたら、最早芸術ではない。例えば絵画...