「秩父の渓谷美」の感想
秩父の渓谷美
ちちぶのけいこくび
初出:「太陽」1926(大正15)年6月

木暮理太郎

分量:約14
書き出し:五月の秩父いつも五月、一年中でのよき日である五月になると、私は秩父の山や谷を思い出すことが避け難い一の習慣のようになっている。恐らく秩父の自然に、私などのよく歩いた時と今とでは、人工的に加えられた変化の大なるものがあるであろう。私自身も其《その》中の幾つかを見て知っている。けれども其山や谷がもつ懐しさには少しも変りが無い。そして其懐しさは、全く秩父の山も谷も、人を惹き寄せて置いて、更にこれを抱擁す...
更新日: 2019/10/04
ハルチロさんの感想

非常に情感溢れる文章で、本作品は秩父山地ーー奥秩父ーーの『渓谷美』を紹介されている。清冽な水を湛える溪川が、秩父山地の特色である『深林』によって生み出されていることも伝えている。“緑と水”の大切さをしみじみと思う作品です。水が温み、新緑の萌える五月の頃に、本作品を携えて、奥秩父の山行に出かけたくなります。