伊藤左千夫
当時は 避難所なるものが あったのか 分からないけど 水没した 家の中に 物を積み上げて その上に 四枚の畳を 敷いて 六人が籠る。 食事は兄から届き 同人からの見舞状は 郵便 小舟が 届けてくれ る。 金魚▫ 鰌▫ 鰻 ▫蛙 ▫興梠が 辺りを 徘徊する。 水難の悲惨を 幼子がほぐすのである。