新憲法に関する演説草稿
しんけんぽうにかんするえんぜつそうこう
初出:「幣原喜重郎」幣原平和財団、1955(昭和30)年分量:約7分
書き出し:私は先ず我国民生活が目下の窮迫情態に陥った原因に溯って一言したいことがあります。我々は昭和六年満州事変の発生以来、昭和二十年太平洋戦争の終了に至る迄、我国が対外関係に於いて執り来った行動を、冷静に、客観的に顧みてみまするならば、遺憾ながら正しい道を踏み誤まった事実を認めざるを得ませぬ。その行動が、仮令《たとえ》何ずれの大国でも過去の歴史を穿鑿すれば有り勝ちの性質のものであったとしても、又国民の各自...