戦前日本の一大謀略事件である、張作霖爆殺事件。その犯行の全容を、首謀者である河本大作が、悪びれずに書き記していることに、驚きを禁じ得ない。 垣間見えるのは、日本の大陸権益を守るためなら、文字通り「何をやっても構わない」という思考形態だ。要人の暗殺。鉄道の爆破。偽情報の流布。人権や法律と無縁の武断政治を繰り広げた関東軍の凄まじさに、圧倒される。 あらためて、この時代の歴史を学ぶ重要性を痛感。同時に、こうした負の歴史を消し去ろうとする右翼の動きに、社会挙げて対抗する必要があると、強く思った。
戦後、文藝春秋に掲載された告白手記です。張作霖爆殺事件ーー満州某重大事件ーーの首謀者である河本大佐自身が著された作品ですから、本作品の内容が、本事件に至った真実でありましょう。著者の河本大佐は、旧陸軍士官学校卒で陸軍参謀でありましたから、対支、対露諜報に詳しかったことと思います。今や歴史の教科書に掲載される日本の転機となる事件の当事者による告白文なので、当時の状況、背景、時間経過がよくわかります。