題名の 意味は 幼児に 漢方薬を 飲ませるための 小さな 銀製の スプーンをいう。実の 母親が 病弱なので 代わりとして 流行り病で 夫を 亡くした 寡婦の 叔母から この上ない 愛情を 注がれ 成長していく 様子が 描かれている。私は 小学生の 頃から 題名だけは 承知していたけど 漱石が 推薦して 世に出たのが 何か 胡散臭い 気配を 感じ 長い間 手に取ることは しなかった。この本は 遅読の 対象の本 としても かなり 知られており 多くの人達に 読書の 秘技を 気づかせる 優れた 作品と 信じる。筋書きの 展開を 注視するあまり 文体の持つ 詩情を 蔑ろにする 雑な 読み方 ばかりでは 勿体無いと 感じるのである。
百年以上経った今ノスタルジックでありながら、新鮮で、ひたすら美しく、静かにきらめいている自伝的小説。成長に従い目線がごく自然に追従 しているためか、情景が容易に浮かんでくる。伯母さんの深い愛情と庇護、友、遊び、学校、四季、自然、兄、そして初恋の感触。心の琴線に触れる宝物のような作品。この本に巡りあえて、本当によかった。
私の大好きな作品です。“銀の匙“という言葉の響きの綺麗さ。作品の中の全てのシーンが清らかで上品で宝石のように美しいくて、とってもいとおしくて。何度も何度も読み返したくなる稀有な作品だと思っています。