三枚目の人間に「ぞろりとした色男」という表現を使うところがたまらない。化けの皮が剥がれて加虐にも似た表情が見えた気もして、その表現にも感嘆する。
男は 兜町(かぶとちょう)の相場師だった。 今では 落ちぶれて 催眠術にかかった振りをするのを 得意技とする 太鼓持(たいこも)ちに なりさがってしまった。 男は 岡惚れしている女に 術をかけてもらう。 その顛末(てんまつ)には 哀感が 漂うのである。 芸人が 読んだら 芸が深まるかなと感じた。
視覚的描写が鮮やかでした。目の前に麗らかな風景が広がります。 まるで落語みたいです。