⚠とても長いです⚠ きちんと乱歩の作品を読んだのは初めてです。 『人間椅子』や『芋虫』等を授業で少しかじって、エログロというか…乱歩特有の猟奇的な部分に惹かれて、まずは処女作である『二銭銅貨』から…と読み始めました。 こちらの作品は短編の推理小説です。 最後にはどんでん返しがあって、わかりやすい構成で、読みやすく、面白いと感じました。 生きている時代が違うので、読みにくい部分もあるだろうと覚悟していましたが、難解な言い回しも無く、するりと読めました。むしろ今はなきタバコ屋さんが出てきたり、所持金の半分に当たる10円を友人に貸したりと、現代人にはないであろう感覚を驚きと共に楽しむことができました。 後に児童向けの作品を書いているというのも納得のわかりやすさです。(余談ですが、私は純文学は苦手な部類だったので、児童向け作品から入るのもありだな、と新たな知見を得ました) 内容を詰め込みすぎている、という意見を見かけましたが、それには私も同意します。次々に新しい情報が出てきて、最後のオチもどんでん返しで…。テンポが良くて読んでいて不快ではないし、読んでいる最中はなるほどそういうことか、という感じでトントンと先に進んでいきます。 ただ、読了後に気になる事が多いです。 結局五万円はどうなったの?とか、二銭銅貨に加工をほどこせる知り合いって?とか、松村を出し抜く前段階の「私」の行動や心の機微とか、もっと掘り下げられるとこいっぱいあるじゃん!気になる〜!となりました。取り乱しました。 想像を掻き立てるという意味では良作なのでしょうか。密度が高すぎて読んでいる最中に想像する余地というか、余白みたいなものがないからやはり稚拙なのでしょうか。そのへんの評価は詳しくないのでよくわからないです。 さて、そんな濃密な内容の作品ですが、松村の試行を含め、暗号が複数登場しています。しかもたっぷり余白を使った解説や、翻訳表の解説付きです。よっぽど好きなんだなあと苦笑してしまいました。乱歩自身のオタクな部分が垣間見えて、熱量で書き上げた同人誌を読んでいるような、なんとも言えない面映さ…むず痒さのようなものを感じました。苦手な人はこういった拙い部分に居心地の悪さを感じたのかもしれませんね。 とはいえ、こういった乱歩の知識量は素晴らしいですし、わかりやすい文章をかける点も尊敬しますし、これだけの情報をこの少ないページにまとめ上げている点も凄いと思います。 こうしてサクッと読書感想文を書けてしまえるほどには面白いと言うことですしね。 まだまだ乱歩初心者ですが、先人の意見を参考に、出版された順に読んでみようと思います。 初期と比べて乱歩の作品がどう変わっていくのか、後でこのレビューを見返した時に自分がどう感じるのか楽しみです。
薄くて小さな二銭銅貨に、上下に分かれる工作を施して、さらに南無阿弥陀仏の点字を書き付けた紙切れを隠せるものだろうかw?…いや本当に誰かの細工によるものが、この東京の何処かにあったのかも知れない。 暗号?は「私」のデッチ上げだってw。なるほどねぇ…
まさにどんでん返しといった感じで、段階を踏んで話の印象ががらりと変化していく様が楽しいですね。 端的に言えばただのいたずらの話なのですが、ここまで楽しく書けるのはやはりすごい。 本筋には関係ないのですが、結局5万円はどこへ行ったのか、気になってしまいましたね。
推理小説家として未熟な作品。
読み終わって、なるほどなるほど、、、。 で、結局5万円は!?!?!?となるけど、話の主題はそこじゃないのでさておき。 松村の気持ちを考えるとちょっと可哀想な気もするけど、機知に富んだコメディくらいの気持ちで読むと良い!!
面白い。時代を感じました。
プライドたっか。
海外の暗号史 探偵物の暗号に 乱歩は 通暁している。 そして 遥かにしのいでいる。 新聞記事から 話が始まり 銅貨が割れて 本筋が 展開する。 意外で 精緻な 構成が凄いと思う。
「変装に使ったあの10円をどうしてくれよう!」と松村がこう言うのを想像して笑った
意外と読みやすい。
「あの泥棒が羨ましい」 最初のこのフレーズに引き込まれました どんな話だ?と興味をそそってくれます
主人公の画策した、友人を翻弄する「策略」について私の感想を以下に述べる。 「主人公の悪ふざけた悪戯は、やはり行き過ぎである。」と思う。 つまり、智に長けた主人公の性格は、畏敬すべきではあるが、やはり、 「どうか(銅貨)している」と思わずにはいられないのである。(笑)
北村薫の《遠い唇》には二銭銅貨の関連作品を収録されてある。それも面白い。
難しい
江戸川乱歩の処女作ながら面白い どたばたブリが探偵小説らしいです
当時の時代背景も考えましょう。少しもニートの話じゃないです。
終盤でまさかの展開にフフンっと笑ってしまいました(笑) 登場人物達が中々に暇人で、良い意味でしょうもない事をやっていて楽しかったです。
何より、作中で起こる事件そのものは、何一つ解決しないという異端な作品。乱歩がポオを引用したり、 今見ると後の大家の楽しいデビューとも。まさにタイトル通り、としか言えない二枚舌は今も色褪せず。見事ですよねえ。 ところで、何故松村と「私」はこんな暇なことやってるんだろう、だから貧乏なのではないのか、と現代で言うニートの小説なのかと読み終わって感じた。作品の面白さとはまったく関係ないですが
気持ちのいいどんでん返し。 なるほどなあ、と膝を打ってほしい作品。
なかなか良くできた作品だ❢