魔術師
まじゅつし
初出:「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年7月~1931(昭和6)年5月分量:約366分
書き出し:作者の言葉わが明智小五郎《あけちこごろう》は、遂《つい》に彼の生涯での最大強敵に相対《あいたい》した。ここに『蜘蛛男《くもおとこ》』の理智を越えて変幻自在《へんげんじざい》なる魔術がある。魔術師は看客《かんきゃく》の目の前で生きた女を胴切りにしたり、箱詰めの小女《こおんな》を剣《つるぎ》の芋刺《いもざ》しにしたり、彼女を殺害して鮮血したたる生首を転がして見せたり、或《あるい》は立所《たちどころ》に...