妖怪博士
ようかいはかせ
初出:「少年倶楽部」大日本雄辯會講談社、1938(昭和13)年1月号~12月号分量:約331分
書き出し:奇怪な老人空いちめん、白い雲におおわれた、どんよりとむしあつい、春の日曜日の夕方のことでした。十二、三歳のかわいらしい小学生が、麻布《あざぶ》の六本木《ろっぽんぎ》に近い、さびしい屋敷町を、ただひとり、口笛を吹きながら歩いていました。この少年は、相川泰二《あいかわたいじ》君といって、小学校の六年生なのですが、きょうは近くのお友だちのところへ遊びに行って、同じ麻布の笄町《こうがいちょう》にあるおうち...