「新秩序の創造」の感想
新秩序の創造
しんちつじょのそうぞう

評論の評論

ひょうろんのひょうろん初出:「労働運動(一次) 六号」勞働運動社、1920(大正9)年6月1日

大杉栄

分量:約9
書き出し:一本月もまた特に評論して見たいと思うほどの評論が見つからない。ただ一つ『先駆』五月号所載「四月三日の夜」(友成与三吉《ともなりよさきち》)というのがちょっと気になった。それは、四月三日の夜、神田の青年会館に文化学会主催の言論圧迫問責演説会というのがあって、そこへ僕らが例の弥次《やじ》りに行った事を書いた記事だ。友成与三吉君というのは、どんな人か知らないが、よほど眼や耳のいい人らしい。僕がしもしない...
更新日: 2022/01/30
decc031a3fabさんの感想

一歩間違えば総会屋みたいな物の言いようだ。本人以外から見たら、演説会を掻き回して乗っ取り、警察まで巻き込んで騒動を演出する、危ない人間に思えていたんだろうな。 だけど大杉栄曰くそれは「演説会そのもの」に疑問を持ってのことだ。一方的に壇上から論じて、イベントそのものの運営が目的に見える演説会は何も生み出さないって思ったんだろう。 口ベタとか関係ない、って言う大杉本人も壇上の快感を知ったような書き方だが、言葉を発せられる者や、演説会を開ける者たちが一方的に言うだけではなく、反論や対話でつど内容を膨らませ、模索する場が演説会であるべきだって、それが本人も自覚する過激なヤジや打ち毀しになっていたようだ。 全てを肯定は出来ないけれど、言っていることは筋が通っている。だからタチが悪いとも思えるし、正々堂々としているとも言える、興味深い人物と思ったな。