「道順は彼女に訊く」の感想
道順は彼女に訊く
みちじゅんはかのじょにきく

片岡義男

分量:約461
書き出し:第一章五年前のこと三日前に引っ越しは完了した。住むための部屋ではなく、仕事場としての部屋だ。だから家具その他、日常のこまごましたものはほとんどなかった。いくつもの本棚とそのなかに詰まるべき本。数多くの資料とそのファイル。コピー機やファクシミリ、ワード・プロセサー、プリンターなどの機器。そして必要に応じて買い足して来た結果の、いくつかのデスク。主たるものはすべて収まるべき位置にすでに収まっていた。事...
更新日: 2020/12/13
19双之川喜41さんの感想

 片岡さんの太っ腹の おかげで この本に遭遇した。 突然に失踪した若い女性の 謎解きのような 筋立てで 話しは 緩やかに進む。 有名な賞の万年候補者の 書きっぷりを想わす。 下北など よく知る 地名も愉しいと感じた。

更新日: 2018/10/10
c111631e52d9さんの感想

純粋に面白い すごいよ義男さん!

更新日: 2017/11/25
ec538f32331eさんの感想

何て素敵な題名! 題名自体が文学になっている。片岡義夫さんの作品は、概して、小田急の沿線が舞台で、主人公の男性は、作家か、写真家か、イラストレーターで、女性はすこぶる美人ばかり。そして、生活臭やお醤油臭さが無い。エスプレッソの香りと北欧家具。本作品も、例外ではない。失踪事件を追い詰めて行く経過で、行方不明の女性の家族、親友、勤務先の人々も知らなかった隠された姿が、次々と明らかになってくる。その過程が興味深くグイグイと引き込まれて行く。数年もかけ万全の計画をたて、死体の無い完全犯罪のように姿を消した女性。本当の自分になりたくて、過去のしがらみ全てを捨てたのだろうか。その割りきりの良さに、驚愕。