片岡さんの太っ腹の おかげで この本に遭遇した。 突然に失踪した若い女性の 謎解きのような 筋立てで 話しは 緩やかに進む。 有名な賞の万年候補者の 書きっぷりを想わす。 下北など よく知る 地名も愉しいと感じた。
純粋に面白い すごいよ義男さん!
何て素敵な題名! 題名自体が文学になっている。片岡義夫さんの作品は、概して、小田急の沿線が舞台で、主人公の男性は、作家か、写真家か、イラストレーターで、女性はすこぶる美人ばかり。そして、生活臭やお醤油臭さが無い。エスプレッソの香りと北欧家具。本作品も、例外ではない。失踪事件を追い詰めて行く経過で、行方不明の女性の家族、親友、勤務先の人々も知らなかった隠された姿が、次々と明らかになってくる。その過程が興味深くグイグイと引き込まれて行く。数年もかけ万全の計画をたて、死体の無い完全犯罪のように姿を消した女性。本当の自分になりたくて、過去のしがらみ全てを捨てたのだろうか。その割りきりの良さに、驚愕。