「流浪の追憶」の感想
流浪の追憶
るろうのついおく
初出:「都新聞」1936(昭和11)年3月17日~19日

坂口安吾

分量:約12
書き出し:(一)私は友達から放浪児と言われる。なるほどこのところ数年は定まる家もなく旅やら食客やら転々としたが、関東をめぐる狭小な地域で、放浪なぞと言うほどのものではない。地上の放浪に比べたなら私の精神の放浪の方が余程ひどくもあり苦痛でもあった。然《しか》しそれはここに書くべき事柄ではない。放浪というほどでなくとも、思いだすと、なるほど八方に隠見出没した自分の姿に呆《あき》れないこともない。然しながらどこの...
更新日: 2025/02/21
65c8aadc88adさんの感想

雙喜  安吾の 一所不在ぶりが 記されている。旅先で 歩き回る わけでもなく ひたすら 部屋を 出る ことなく 篭って いるのだから 転地 療法 というわけでも なく 自分自身を みずから 追い詰めて いくような 不思議な 性向を 持っている。他人には 解りにくい 気持ちの 動きを 自身では 良く 分析しており 巧みな 文章に 昇華させる。ややこしい 性格の 人は 大変な もんだと 愚考した。