「文字と速力と文学」の感想
文字と速力と文学
もじとそくりょくとぶんがく
初出:「文芸情報 第六巻第一〇号」1940(昭和15)年5月20日

坂口安吾

分量:約10
書き出し:私はいつか眼鏡をこわしたことがあった。生憎《あいにく》眼鏡を買う金がなかったのに、机に向かわなければならない仕事があった。顔を紙のすぐ近くまで下げて行くと、成程《なるほど》書いた文字は見える。又、その上下左右の一団の文字だけは、そこだけ望遠鏡の中のように確かに見えるのである。けれどもそういう状態では小説を書くことができない。そういう人の不自由さを痛感させられたのであった。つまり私は永年の習慣によっ...
更新日: 2021/01/28
19双之川喜41さんの感想

 想念を文章化するもどかしさは 誰しも 経験することがある。 安吾は 「文章を推敲するのでなく、観念を推敲し、育て、整理している。」と 力説する。 半世紀前 気づいた慧眼 今の入力速度の向上を まの当たりにしたら 何と言うか 聞いてみたいと感じた。

更新日: 2016/02/24
ff0790c574b0さんの感想

フランス人の友達が、自分だけの短縮文字を使っているのを思い出す。彼女は確かに文学において人より優れていた。だからといえ、思考より遥かに遅い筆記を私は否定しない。言葉をゆっくり書いて、ゆっくり飲み下すうちにひらめくものだってあると思うから。