「語学も少し目鼻がついたから、仏蘭西の小説も読んで見た」と 竜之介はいう。 ほとんどの人は 目鼻なんぞはつかない。 責任先頭を感じたかは 判らないが 仕入れにも力を入れたのだと思った。
芥川が英語はもちろん、仏語まで出来るとは知らなかった。 夏目はイギリス留外の経験もあり英語教師だったのは有名だし、森も独語に精通してたのは理解していた。 しかし、芥川はどちらかというと、今昔物語のような日本の古典に造詣が深いイメージでドーデーやらアナトオル・フランセなどを英訳や原書で読んでいたとは知らなかった。流石、大作家は外国語の一つやニつ知っているのが当然なのだろう。丸善でしか手に入らない外国文学の原書を誰が読み、誰が訳し、国内で紹介するかが当時の作家のプライドかも知れない。