私は金木犀の匂いを嗅ぐと1年たったなぁと思います。それが筆者にとっては柘榴の花なのだろうかと勝手に思いました。 そして戦時の世の中で出征した若者から武人の心持ちを感じ、自然の中から豊かな文章を生み出す筆者の感性の鋭さを感じました。最後の一文が好きです。
太宰治にもあったことだが、 三好達治、彼の心の内にもまた戦争があるのか!!! 若者達が戦地へ出征していく。 毎年、柘榴の花を見ると、平穏でない世界で比較的平穏に暮らしている自分 を考えさせられる。 自分の心は沈滞しているが強烈な自然美が生きているという実感を与えてくれる。 達治は「閑談」とあえて表現しているが、自然を見て何かを感ずる心、万葉の頃の短歌に始まり、近代の俳句、川柳、詩などの文芸は、戦地にいる武人たる若者達の心にもある。 若き平敦盛は(青葉の)笛をわざわざ取りに戻ったが故に、熊谷直実に殺されたのだ。 それが、日本人の心情なのだ。