「果樹」の感想
果樹
かじゅ
初出:「中央公論 十二月号」1925(大正14)年11月8日

水上滝太郎

分量:約36
書き出し:相原《あいばら》新吉夫婦が玉窓寺《ぎょくそうじ》の離家《はなれ》を借りて入ったのは九月の末だった。残暑の酷《きび》しい年で、寺の境内は汗をかいたように、昼日中、いまだに油蝉《あぶらぜみ》の声を聞いた。ふたりは、それまでは飯倉《いいぐら》の烟草《たばこ》屋の二階に、一緒になって間もなくの、あんまり親しくするのも羞《はずか》しいような他人行儀の失せ切れない心持でくらしていた。ひとの家の室借《へやがり》...
更新日: 2020/08/17
19双之川喜41さんの感想

 新婚夫婦が 寺の持ち家を借りた。庭には 柿の木があり たわわに実っていた。渋柿だと 言い聞かされていたけど 子供達が 柿泥棒をしに頻繁に 忍び込んでくる。そのことに 業を煮やした 寺側は 総出で 柿の実を落として 夫婦に お裾分けとして 柿をくれた。食べてみたら 柿は渋くはなく 甘かった。境内の自然描写が 丁寧であると思った。