この作品は、南関東大地震(関東大震災)により、青春の悲喜交々に揺れる若者達が、翻弄される物語です。関東大震災は、東京を舞台として描かれている作品が多いですが、本作品は、神奈川県の鎌倉が舞台となっています。関東大震災の震央は相模湾とされており、神奈川県下の震度、倒壊家屋数は東京を上回っています。鎌倉周辺は、皇室関係者、官人、文人の別荘地が多く、震災の犠牲となった皇室関係者、官人、文人は多数いらっしゃいました。物語中の人物もまた、被災し、生死が別れたことを描写されています。現実には、本作品の描写を越えるものだったかと思います。
夏も 終わりになり 別荘仕舞いをして 人々が 引き上げ始めた頃 鎌倉も 震災に 見舞われた。 若者の 淡い 恋は 大津波に会うこともなくて ほんの少し 希望が 持てたかもしれない。 「避暑地の出来事」という映画が 頭をよぎった。