「鍵」の感想
かぎ
初出:「中央公論」中央公論社、1956(昭和31)年1月、5月~12月

谷崎潤一郎

分量:約258
書き出し:一月一日。………僕《ぼく》ハ今年カラ、今日《きょう》マデ日記ニ記スコトヲ躊躇《ちゅうちょ》シテイタヨウナ事柄ヲモアエテ書キ留メル※ニシタ。僕ハ自分ノ性生活ニ関スル※、自分ト妻トノ関係ニツイテハ、アマリ詳細ナ※ハ書カナイヨウニシテ来タ。ソレハ妻ガコノ日記帳ヲ秘《ひそ》カニ読ンデ腹ヲ立テハシナイカトイウ※ヲ恐レテイタカラデアッタガ、今年カラハソレヲ恐レヌ※ニシタ。妻ハコノ日記帳ガ書斎ノドコノ抽出《ひき...
更新日: 2019/10/13
19双之川喜41さんの感想

 究極の楽屋落ちである。 良く 話題は 身辺雑事から 離れれば 離れるほど望ましいと言われるけれども 谷崎は 逆張りで 勝負に出た。 回春劑にもなるだろうし 印税も得ただろうし 創作力の衰えを なんたら太平記のように 身近に漁ったのは 偉いと感じた。

更新日: 2019/03/17
095e640ec571さんの感想

夫の性癖に耐えられないと言いながら性欲絶倫の妻 エロ親父だが性力減退で妻の浮気を想像しないと奮い立たない夫 好きな男の気持ちが母の美貌と色気に傾き複雑な行動をする娘 凄い人間関係に夢中で読んでしまった 日記形式の効果は抜群 最後の木村の提案には唖然となった

更新日: 2016/10/23
2766d2dc816aさんの感想

面白かった

更新日: 2016/06/23
b9ef941530ccさんの感想

夫に隠れて浮気する妻と夫の内心を探り会う二人の日記。御互いに探り会う心の葛藤を赤裸々に本音を探り会う。夫婦の疑心暗鬼は日記の中で続く。

更新日: 2016/06/11
芦屋のまーちゃんさんの感想

【最終報告】  完読。 夫は高血圧症。私も血圧は高く親近感 を持ち読みすすんだ。 夫は60前で亡くなってしまう。 高血圧からくる脳溢血で麻痺もあった。死期を早めた行為が妻との激しい異常なSEXであったかもしれない。 妻は少なくともそう思っている。 妻の日記には虚偽が含まれていたことを夫の死後、告白している。 夫の日記も盗み読みをしていた。 妻が夫以外の男(木村)と肉体関係を持ったのも、実は夫の生前であった。 妻は日記で体調が悪いと嘘を綴る。 夫がそれを読み妻の死の影を感じたろうか?妻は「私も死を賭しているのだから、あなたもその気になりなさい。」というメッセージを送った、と告白している。 快楽の果てにあるもが死であった。 夫は眠るように死んだようだ。その意味では幸福な人生であったと思う。 妻に殺されたとは思わないだろう。 むしろ、妻に生かされたのだ! 【中間報告】 夫の日記がカタカナ混じりで、読み辛い。啄木のローマ字日記のようだ。故に、まだ27%しか読めてない。夫婦間の性交を日記に書き、妻に見られることを想定しているという何とも尋常ではない精神状態である。一方の妻も日記を書き同様に夫が見る前提で本音を述べる。こちらは、ひらがな混じりなので読みやすい。夫と妻の日記が交互に繰り返される。今後、夫の性癖がどこまでエスカレートするのか?あるいは、妻の浮気が妄想から現実の展開になるのか?読んでいきたいと思う。