吉野に旅行に行ったが、真夏であり、桜も紅葉も無くて、何となく拍子抜けした帰途、「とても良い」とのネット評判から、帰りの新幹線の中で読んだ。 結果、とてもよかった。 文章が秀逸すぎる。作者の端麗な筆致により、淡かった私の吉野の印象が、ぐっと濃くなり、味わい深い旅にしてしまった。 紀行文が、いつの間にか、伝説、物語となって、太古から南朝の吉野、明治大正の吉野へと繋がっていく。 読後、爽やかな秋の吉野が水面できらめいている。
旅行記は 内容的に 薄っぺらなものが多い。 本編は 違う。 歴代探訪のように 南朝時代の時代背景をつてに 歌舞伎▫和歌▫和紙を 織り込み 話しは進む。 堪能した。
谷崎潤一郎の吉野葛は、谷崎潤一郎が吉野川上流へ旅する話。奈良から大阪へ女中奉公へ行った女の話とか、谷崎潤一郎の回想録か。