谷崎潤一郎の作品を何作か読んだが、この人は本当に、奔放で自分勝手で躊躇いなく嘘をポンポンつくような美人に振り回されたいのだなと思う。 そしてそれに巻き込まれても、穏やかで辛抱強く寛大な夫。 同性愛も書いていたのかと驚いた。 こてこての関西弁の語り口調が読みやすく親しみやすくて、好きだなと思った。 あまりに惹き付けられて、もうこれ以上は光子の言うことが真実であってほしいと何度思ったか。 この先はもう踏み込まないほうがいい光子に関わらないほうがいいと切実に感じたが、すがられてまた絆される園子の気持ちもよく分かった。 何重にも何重にも嘘を重ねて、もうどこから本心なのか本人も分からなくなっていそう。 もう終盤というところで、まさか光子と園子の夫とが関係するとは夢にも思わず度肝を抜かれた。 衝撃だった。 そしてそれを更に上回る終末。「柿内未亡人」やら光子の死を仄めかす部分があったので心構えはあったが、それぞれ急病だの事故死などと考えていたので、まさか三人で心中し園子だけ残される最後だとは夢にも思わなかった。 最後の最期まで欺いて、わざと園子だけ生かしたのだろうと確信した。 そしてこれだけ振り回され人生をめちゃくちゃにされ夫まで奪われた園子の心がまだ光子にあるという執着、愛おしさ、寂しさ。 もっと早く読みたかった作品だった。 谷崎潤一郎の一番好きな作品は、何度読んでも細雪だが、展開に驚かされたのは間違いなくこの作品。
出来がいい落語のような物語
何とも妖しい魅惑的な気分にさせる小説。光子の心情はとても計り知れないし、疑えば、すべての人物の心を疑える、読みごたえのある小説だった。
週刊誌のゴシップ記事を読んでるような感覚で読んでしまった 洗脳されるプロセスを細かく説明してくれたような あの時代にこの感覚の小説は異彩を放っていただろうなって思ってしまう
最後に何かあるとは思いましたが。そう来るのか! そんな綺麗な人に会ってみたいたい。
初めは、一人語る園子さんの口調があまりに単調というか、とりとめの無い話に感じ退屈でした。ところが、事件が起きるたびに引き込まれ、一気に読めました。途中で話を聞く先生が、園子さんのことを柿内〇〇〇と表現したあたりから、?、最後の結末を持って納得しました。でも、真相は分かりません、、、解らない世界の筈だったのに、何故か園子さんに同情してる自分がいます。面白かったです。
関西弁に少しつっかかりながらだけれど、会話体だからページが進んだかな。話し手が分からなくなることもしばしば有ったが…。 9割読んできてずっと 「ハズさん(孝太郎)ええ人やんか…(泣)」 って思ってたけど あれ?展開が? 大どんでんどんでん返し(short ver.) 光子教こわい。 P.S.パッションやで、みんな。
谷崎潤一郎の卍は男女の色恋を描いた作品。光子と綿貫の色恋を中心にストーリーは展開するが、最後に光子と綿貫と柿内夫人が服薬自殺するが、柿内夫人は生き残る。谷崎潤一郎の作品は一貫して昭和初期の大阪弁で描かれているが、~に、という言い方を、~い、という言い方をしているが、船場言葉なのか?私も大阪生まれの大阪育ちだが、幼い頃から、~い、という言い方を耳にしたこちがない。 この谷崎潤一郎の作品は総じて大阪弁に通じていて、リズムを解っていないと読みずらい作品でもある。