「うつせみ」の感想
うつせみ
うつせみ
初出:「讀賣新聞」1895(明治28)年8月27日号~31日号

樋口一葉

分量:約25
書き出し:一家の間数《まかず》は三畳敷の玄関までを入れて五間、手狭《てぜま》なれども北南吹とほしの風入《かぜい》りよく、庭は広々として植込の木立も茂ければ、夏の住居《すまゐ》にうつてつけと見えて、場処も小石川《こいしかは》の植物園にちかく物静なれば、少しの不便を疵《きず》にして他には申|旨《むね》のなき貸家ありけり、門《かど》の柱に札をはりしより大凡《おほよそ》三月ごしにも成けれど、いまだに住人《すみて》の...
更新日: 2021/08/22
果物たべたいさんの感想

 恋人と引き裂かれて、頭のおかしくなっちゃった女の子と家族のお話。  始めはよく分からなかったけど、だんだんと仔細顕になっていく。ミステリーみたいで、読み進めていくのが楽しかった。  雪子は最終的に病美人から鬼の形相になってしまう。名前の恥ずかしければ、とか遠慮せずに入院していたらとか考えてしまうのだけれど、それもどうなんだろう?明治時代だろうし、逆に弱ってしまったりするのかな。  でも、やっぱり1番やるせないのは植村の自殺。こんなになってるんだから、「植村も可愛相な事でした」とか言ってないで、会わせてあげなよ!とかハラハラしていたのに、「遺書」の段階で絶句。もう本当に取り返しがつかない。てっきり「可愛相な事」=退学とか他の娘と無理矢理結婚させられたとかだと思ってたのに。雪子とは同世代だから余計響いた。そりゃ、精神病むよ。  それに、「私が、私が、申さないが悪う御座りました、兄の言ふてはをりまするけれど」とあるから、植村のことが本当に本当に大好きで、だから、軽はずみにも許嫁がいることを隠しちゃったのかな。嫌われたくもなくて、その後もずっと必死に隠しちゃったのかな。でも、そのせいで植村は死んじゃって、責任も感じちゃってる。植村も植村で、交際の盛り上がってる時に知ってしまって、余計世の中が悲しくなっちゃったのかな。もし、雪子のお家や許嫁から直接伝えられて、示談金とかが渡されていたらもう両者ともに悲惨すぎる。  この後の展開で、雪子の「植村、ゆるし給ヘ」、「学校、手紙、我罪、おあとから行きまする、恋しき君」で心が震えた。ほぼ文章じゃん。「何処へか行こう、行こうと仰やる」だけで引っ越す行動力がたるなら気づいてあげなよ!と心底思う。引っ越す以前からずっと言ってることなのに。でも、それも分からぬ振りなのかな。井戸に蓋してるし。  あと、結末の「あはれ門なる柳に秋風のおと聞こえずもがな」って、雪子は夏を越せなかったのかな。「空蝉はからを見つつもなぐさめつ」もそれを分かってて看護したってこと?で、題名とは「うつせみ」の表記が違う。「空蝉」が家族とか許嫁ならまた悲しいなと思った。

更新日: 2019/10/24
19双之川喜41さんの感想

 戀の一途な有り様を 一葉は 示したかったのだろう。 狂おしいほどの恋慕は 一線を超え あちら側の人となってしまう。 正気と狂気の狭間に 真実ありと感じた。

更新日: 2017/11/26
e720924e1a43さんの感想

古文調だからこその雅な世界観の表れ。味わい深いですね。他の作品でもそうですが。

更新日: 2017/06/19
b9ef941530ccさんの感想

樋口一葉の空蝉は、最後のとりで、空蝉を掛けているが、やはり、古文調では、現代文学として楽しむことはできない!