「欧洲紀行」の感想
欧洲紀行
おうしゅうきこう

横光利一

分量:約227
書き出し:二月二十二日[注・昭和十一年]家人への手紙一今さき門司を出た。疲れているので手紙を書く気もしない。船のなかは馴れると楽だが頭がぼんやりして眠る前のようだ。温かく上衣を脱ぎたいほどだが、うっかり手紙をサロンで書いていると、突然日本海から隙間風が来て咳が出る。まだ風邪が癒らないのだと思う。あわてて隙間風のこない所へ逃げてまたペンを持つ。これから出す手紙は保存しておいてほしい。その時、思ったことを書きつ...
更新日: 2025/06/23
65c8aadc88adさんの感想

雙之川喜1941  生身の アンドレジイドに 街かどで 偶然 遭遇した ことが この 紀行の 最大の 収穫物 かもしれないと 感じた。邦人でも このような 異常接近は そう 多くは ないことだろう。例えてみれば 銀座で 夏目漱石を 見かけるような もので あろう。横光の 興奮に 酔う 有様が 伝わった。

更新日: 2024/04/21
19双之川喜41さんの感想

 二日にわたって 著者-横光は かの有名な アンドレ-ジイドと 遭遇(そうぐう)する。それらは 車中と モスクワのホテルである。ジイドは 人命を ないがしろにする ロシアに 人命尊重(じんめいそんちょう)を 強調(きょうちょう)する。しかしながら 露国の 人々は 今も 昔も 性懲(しょうこ)りなく 人道に 反する ことを 執拗(しつよう)に 繰り返していることが うかがえる。蛙の面に 小便とは このことかと 想った。 

更新日: 2023/04/26
19双之川喜41さんの感想

 近頃 ドーム型の 大球場で 国籍の 別け隔てなく 惜しみなく 声援を 送る 観客の 様子が 日本でも 話題となった。オリンピック観戦の 特派員として 欧州に 派遣された 横光は 当時 村社(むらこそ)-西田-大江に 対する 拍手の波は 満場 割れんばかりの 応援であり 日本の 観衆に おいても かくの如く 公明に 美しく あらんことを 望んで 止まないと 記した。時は流れて 我が国も 横光の 念じたように あい成った。 横光は モスクワで 世界第一の 精神界の 偉人である ジイドを メトロポリスという 彼の 定宿で 見かける。わたしは 横光は 貴重な 歴史的人物の 目撃者と 想った。そして 何より 人命を 尊重しなければ ならぬとする。この意識の 強さが 種族の知性であり 一切の 文化の 根底をなすものだとする。プーチンチンは ジイドからも 学ぶべきことを 学び 損ねたやうにも 感じた。