木暮理太郎
本作品中の『秩父』は、今日で言うところの「奥秩父」に当たる。今日でも、「奥秩父」の山々を縦走するのは、交通の便を見ても大変である。本作品中にあるように、明治、大正期に奥秩父に入るのは、北アルプスに入るよりは、ずいぶん楽かもしれないが、相当の準備を要したであろう。秩父における信仰登山以外の“登山”書として、この作品は興味深いです。