「初めて秩父に入った頃」の感想
初めて秩父に入った頃
はじめてちちぶにはいったころ
初出:「旅」1937(昭和12)年10月

木暮理太郎

分量:約7
書き出し:当初、山を愛好する一部の人々の間にのみ行われていた登山が、一般世間からは物ずきの骨頂と蔑視されながらも、勇敢に口や筆で夫等《それら》の人々が宣伝につとめた努力は報いられて、次第に同好者を獲得することに成功し、後年の隆盛を想わせる曙光にも似た明るい前途を約束し得るに至ったことは、誠に愉快なことであった。其《その》頃の登山は言う迄もなく夏季に限られていた。何せ交通不便という一大|障碍《しょうがい》があ...
更新日: 2019/10/02
ハルチロさんの感想

本作品中の『秩父』は、今日で言うところの「奥秩父」に当たる。今日でも、「奥秩父」の山々を縦走するのは、交通の便を見ても大変である。本作品中にあるように、明治、大正期に奥秩父に入るのは、北アルプスに入るよりは、ずいぶん楽かもしれないが、相当の準備を要したであろう。秩父における信仰登山以外の“登山”書として、この作品は興味深いです。