書簡 大杉栄宛
しょかん おおすぎさかえあて
(一九一六年四月三〇日 一信)
(せんきゅうひゃくじゅうろくねんしがつさんじゅうにち いっしん)分量:約2分
書き出し:宛先東京市麹町区三番町六四第一|福四萬《ふくしま》館発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館ゆふべ、つくと直ぐに手紙を書き出しましたけれど、腰が痛んで気持が悪いので止めました。つきますと直ぐに雨が降り出して、風がひどいので外には出られません。真暗な風の強いさびしい晩でした。停車場から此処まで歩いてくるうちに、泣きたくなつて仕舞ひました。停車場の直ぐ前ときいてゐましたけれども、少し離れてゐます。海の近くです...