6年後にいまさらですが、トップレビューの意見、そういう疑問点も含めての「推理」というもののトリッキーさ、危うさを最後に左右田に語らせていると思う。 石(庭石ではないと思うが)の件指摘すれば、左右田も「そうだよ」といいそう笑 青空文庫で乱歩作品を読み進めて以来、江戸川乱歩という作家に驚かされっぱなしですが、 この作品も特に最後の一文は効いている、洒落ていると思います。 追記 書いていてちょっと恐くなったのですが、 たしかに、石で足痕を深くするトリックは、中途半端ですよね。 ホームズだったら足痕の深さを計測すると思っていたのでした。人1人抱えてどれ位深くなるか。 そして、病身の女性が自分ほどの重さの石を抱え歩く事はまず不可能だ。 ならば、博士の靴を履いて手ごろな石を抱えていったのが夫人だとしても、それは例えば列車でも脱線させて博士の名声を落とそうとでもいう程度の企みだったかもしれない。 そして、完全犯罪は、左右田が再三称揚する程の最優秀頭脳の博士が遂行したとするならば。 そして暗に左右田はそれを示唆しているとするならば… それが一番恐いミステリーだなと思いました…
偶然拾った切符から事件の真相を暴く。なかなか面白かった
証拠品の1枚の切符にしてもチョットしたことで有罪の証拠にも無罪の証拠にもなる。そういう危ういものであると作者は言いたかったのであろう。
簡単に読めて深い
オチも含めて素晴らしい。 探偵が二人出る、というのは乱歩さんの作品でよくあるものの、これもどんでん返しが見事です。 思わず「なるほど!」と鳥肌が立つ思いでした。
よし
「緻密な冤罪計画を、妻が画策した」 との結論だが、ひとつひっかかる。 ①なぜ、博士に罪をきせる計画なのに、自宅の石を「重みの靴跡」として利用したのか? 自宅の庭石が一つ無くなれば即ち、 「重みの靴跡」は、人を抱えてついた跡ではなく、石を抱えてついた跡であることは、すぐにバレる。 本来なら、その石は、他所から仕入れるべき「路傍の石」であるべきなのだ。 「綿密な冤罪計画」のはずが、大きな落ち度が残る計画に落ち着いてしまう。 となると、「本当に旦那を陥れるために画策した「妻による罠」なのだろうか?」 という疑問は残存するのである。