随筆銭形平次
ずいひつぜにがたへいじ
07 ペンネーム由来記
07 ペンネームゆらいき分量:約5分
書き出し:筆名の由来をよく訊かれる。胡堂などというのは、徳川末期の狂詩でも捻《ひね》る人にありそうで、どう考えても現代人のペンネームではない。いつか村松梢風氏が「お互に古風な筆名を持っているが、こんなのはもう流行《はや》らないね」と言ったことがあるが、まことに同感に堪えない。親のつけた名は長一という。長四郎の長男で長一、至極簡単明瞭な名だが、この名前、世間にザラにありそうで、滅多にないから不思議である。昔で...