前半の乱歩キャラの変態性が、後半一気に死体描写に移るとキャラではなく、乱歩自身の変態猟奇性が遺憾なく記されていて、やや気味が悪くなる。ここまで来ると気狂い物書きの戯れ文だ。もし身内なら外を歩けなくなる。やめてよ、お父さん!
死体をキャンバスに見立てるというのが、面白かった。 要約すれば、引きこもりの青年が“どうして俺だけのけ者にされるんだ!どうして僕だけ性行出来ないンだ!チクショー!”と言って女性を殺す話。 ただ死体への彼なりの奉仕が面白い。 殺害の前に犯罪をワンクッション置くのがすんなりと物語を運んてでる。
エロ、グロ、奇怪と狂気正に乱歩世界全開の作品だ。
これぞ乱歩ではないが、今で言えば引きこもり青年の歪んだ慕情の一端が窺えて、それなりに興味深い。が畢竟それだけである。