南極・北極・熱帯の雪
なんきょく・ほっきょく・ねったいのゆき
初出:「図書 第百十一号」岩波書店、1958(昭和33)年12月10日分量:約9分
書き出し:昨年の秋頃だったか、南極越冬中の西堀さんから、長文の電報がきた。文部省の南極観測本部を通じてきたもので、書翰箋一枚くらいの長い電報であった。内容は、雪の結晶形についての問合わせである。西堀さんは、岩波から以前に出した、私の『雪の研究』を、南極へもって行っておられたらしく、第何図版第何百何十図の写真というふうに、結晶形を一々指摘して、それについて問合わせてきた。今度出た『南極越冬記』を読んで、初めて...