八戒に遭った話
はっかいにあったはなし
初出:「藝術新潮 第二巻第十三号」1951(昭和26)年12月1日分量:約8分
書き出し:もう十年昔の話になるが、学士院賞を貰った時に、その金で『東瀛珠光』と『西域画聚成』とを買ったことがある。学士院賞というものは、私たちが中学へはいって間もない頃創められたもので、賞金は千円であった。当時千円という金額が決められたのについて、もちろん嘘ではあろうが、京童はこういうかげ口をきいたものだそうである。即ち、学者は一生研究していても、到底自分の家を持つことは出来ない、せめてとくに優れた研究をし...