露伴先生と神仙道
ろはんせんせいとしんせんどう
初出:「露伴全集 月報第13号~第14号」岩波書店、1951(昭和26)年1月20日、1953(昭和28)年3月31日分量:約20分
書き出し:先だって久しぶりに小宮さんと会った時、何かの拍子に露伴先生の話が出た。そして文さんの『父』のことなどを話しているうちに、小宮さんが、「そういえば、幸田さんは死ぬ前に「じゃ、おれはもう死んじゃうよ」といったそうだが、あれは君、大変なことだよ。幸田さんという人は、よほど傑かったんだね」としみじみいわれた。私も実は『父』を読んだ時に、あの言葉に出遭って、思わずどきっとしたのである。それで、「あれには本当...