世の中を見ると、あれが辛い、これが悲しいという話ばかり。聖書のような古典であれ、はやりの漫画であれ、人が語るのはそういうものだ。確かに、そのような話をしたり、それに共感したりすることで心は軽くなるし、現実に生きるには必要なことだ。 でも、ここで思い返してみる。木の洞に迷いなく飛び込んでしまう無謀、知ったかぶりの傲慢、わけがわからなくても能天気。それらは「問題」を何ひとつ解決しない(し、実際アリスの振る舞いを見てるとテストの点数が不安になる!)が、そのような心を持つ者にこそおもしろおかしい世界が拓けるのでほないか。 そしてそんなアリスを見て、馬鹿にするのでもなく、その素晴らしさに心打たれる姉の慧眼よ!大の大人だって「子供は嫌い」という者ばかりなのに、青年期にあたるであろう彼女のそんな姿はとても魅力的で、彼女が現実にいるからこそアリスは空想の世界に潜ってゆけるのだと思い起こされる。私も彼女のようになりたいものである。子供達と、自分の中のアリスのために。
自らの 想像力だけを 駆使して 読み進むのが いつものやり方だけど この作品のように 映像化したものが 多いと 他のイメージと 競いながら 味わうことになるのが 面白いと思った。
言葉使いが古めかしいのでてっきり明治時代に訳されたものかと思いきや、かなり最近の訳だとあとがきでわかった。 「不思議な国のアリス」はたいていの人は大体の話の流れは知っていると思うが、原作はもっと長くたくさんのキャラが登場する。英語ではほとんどの会話で言葉遊びが行われているようだが、和訳ではそのすべてが表現できないのでそういう楽しみ方はあまりできない。教養として読んでみるのが一番か。