映画を作る話
えいがをつくるはなし
初出:「中央公論 第五十四年第六号」中央公論社、1939(昭和14)年6月1日分量:約31分
書き出し:去年の暮のことである。T映画会社の専務とかいう方が見えたというので、会って見たら、その用向きというのが、『雪』を映画にして見たいがどうかという話だったので、少々驚いた。もっともよく話を聞いて見ると、ちょっと面白いので、人工雪の結晶が顕微鏡の覗野の中でだんだん生長して行くのを活動にとって、それを主眼にして、外に少し研究の雰囲気をとり入れた文化映画が作りたいという話なのである。「実は社の文化映画部の者...