「ぐうたら道中記」の感想
ぐうたら道中記
ぐうたらどうちゅうき
初出:「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

佐々木邦

分量:約448
書き出し:第一回何にする積りかこの間学校で担任の先生が皆《みんな》のお父さんの職業を取調べた。級長から席順に官吏大蔵省技師とか、実業白木屋店員とかと答えて、僕の番が近づいた時、僕は尠《すくな》からず当惑した、僕のお父さんは商売なしだ。今に何かやるよと言うのは口先ばかりで、僕を長男に五人の子供の親になってまだ一定の職業がない。四十にして惑わずというからイヨ/\最早《もう》惑わずに無職業と度胸を据えたのらしい。...
更新日: 2021/11/13
ハルチロさんの感想

本作品は、小説である。しかし、小説の体をした旅行案内書のようにも見られる。大正期に「主婦之友」に掲載されていたとのことなので、恐らく、女性の読者を想定していることと思われる。だからか、平易な文章と世間話でもするかのような登場人物の掛け合いが面白いです。また、訪問先の名所、名物、方言なども随所に描かれており、よく練られた旅行ガイドが登場人物の掛け合いによって紹介されており、情景が思い浮かぶ作品でした。

更新日: 2021/09/23
いちにいさんの感想

最初の数頁を読んだだけだが、学校で親の職業を言わされることが過去の教育史にはあったのか!と驚いた。個人情報保護もあったもんじゃない。まして、無職は困る、と言う教師はいったいぜんたいどういう教育を受けてきたのか!腹立たしく、先を読む気がしなくなった。