本作品は、小説である。しかし、小説の体をした旅行案内書のようにも見られる。大正期に「主婦之友」に掲載されていたとのことなので、恐らく、女性の読者を想定していることと思われる。だからか、平易な文章と世間話でもするかのような登場人物の掛け合いが面白いです。また、訪問先の名所、名物、方言なども随所に描かれており、よく練られた旅行ガイドが登場人物の掛け合いによって紹介されており、情景が思い浮かぶ作品でした。
最初の数頁を読んだだけだが、学校で親の職業を言わされることが過去の教育史にはあったのか!と驚いた。個人情報保護もあったもんじゃない。まして、無職は困る、と言う教師はいったいぜんたいどういう教育を受けてきたのか!腹立たしく、先を読む気がしなくなった。