「「細雪」回顧」の感想
「細雪」回顧
ささめゆきかいこ
初出:「作品 第二號」創藝社、1948(昭和23)年11月15日

谷崎潤一郎

分量:約9
書き出し:私が「細雪」の稿を起したのは太平洋戦争が勃発した翌年、即ち昭和十七年のことである。これがはじめて中央公論に出たのは昭和十八年の新年号であつたが、それから四月号に載り、次いで七月号に掲載される筈の所がゲラ刷になつたまゝ遂に日の目を見るに至らなかつた。陸軍省報道部将校の忌諱《きき》に触れたためであつて、「時局にそはぬ」といふのが、その理由であつた。当時すでに太平洋の戦局は我に不利なる徴候を見せ、軍当局...
更新日: 2019/10/01
ec48dba605e8さんの感想

「細雪」の裏話。時代からして想像しながら読むと感慨深い。

更新日: 2018/08/04
いちにいさんの感想

もし、あの戦争がなかったら、「細雪」は違った作品になっていたのだろうか?谷崎は、戦争と平和の間の作品と回顧している。もっとドロドロした不倫関係の男女の恋愛感情を出せずに遠慮した、とも。三女の雪子の婚活物語ではあるが、古き「家」制度の下、世間体を重んじ、家柄が恋愛に勝るという条件を課せられ、婚期が遅れていく。そんな裏で、雪子が辰雄(鶴子の夫)や貞之助(幸子の夫)と不倫していたなんていう、アナザーストーリがあっても現代風だ。