谷崎潤一郎
「細雪」の裏話。時代からして想像しながら読むと感慨深い。
もし、あの戦争がなかったら、「細雪」は違った作品になっていたのだろうか?谷崎は、戦争と平和の間の作品と回顧している。もっとドロドロした不倫関係の男女の恋愛感情を出せずに遠慮した、とも。三女の雪子の婚活物語ではあるが、古き「家」制度の下、世間体を重んじ、家柄が恋愛に勝るという条件を課せられ、婚期が遅れていく。そんな裏で、雪子が辰雄(鶴子の夫)や貞之助(幸子の夫)と不倫していたなんていう、アナザーストーリがあっても現代風だ。