脳髄の進化
のうずいのしんか
初出:早稲田大学哲学会にて講演、1906(明治39)年2月分量:約29分
書き出し:人間の身体の内にある種々の器官は、いずれを取ってもその進化の経路を調べて見て、おもしろくないものはないが、その中でも特に脳髄は物を考える道具であるゆえ、それが今日のありさままでに発達しきたった由来を研究することは、学問を修める人等にとってはきわめて興味もあり、かつ有益なことであろう。ここにはただその大略だけを説いて、それより生ずる考えをひととおり述べるつもりである。われわれの頭の皮をはぎ去り、頭骨...