「新宝島」の感想
新宝島
しんたからじま
初出:「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月

江戸川乱歩

分量:約252
書き出し:序この物語は、大東亜戦争|勃発《ぼっぱつ》以前、昭和十五年度に執筆したものであるが、当時既に我々の南方諸島への関心は日に日に高まりつつあったので、その心持が、物語の舞台を南洋に選ばせたものであろう。又当時は対米貿易の行われている頃で、短時日に出来るだけ多くの物資をかの国から輸入しておかなければならぬ事情にあり、政府は貿易尻決済の金《きん》の獲得に百方苦慮していたのであるが、その事が日本少年による黄...
更新日: 2021/12/11
ハルチロさんの感想

本作品が掲載されたのは、『少年倶楽部』という、当時の少年向け雑誌の代表的なものです。恐らく、当時の少年達の多くが、読んだことでしょう。本作品は、冒険小説で、乱歩先生得意の怪奇的探偵小説ではありません。文章も少年向けなので、乱歩先生の少年向け代表作である「少年探偵団シリーズ」のような、柔らかいものになっています。個人的には、ラストが何となく尻切れトンボのように感じるのですが、『ロビンソン・クルーソー』や『十五少年漂流記』のような作品が、好きな方には、面白いかと思います。