智恵の一太郎
ちえのいちたろう
初出:象の鼻「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年1月分量:約172分
書き出し:象の鼻明石一太郎《あかしいちたろう》君は、学校のお友だちや近所の人から、「智恵の一太郎」というあだなをつけられていました。それは、一太郎君がとても、うまい考《かんがえ》を出して、みんなをびっくりさせたことが、いくどもあったからです。近所のおばさんなんかは、一太郎君を「頓智《とんち》がうまい」といってほめましたが、一太郎君の智恵はただの頓智ではなくて、何でもすじみちを立てて、よく考えてみるという智恵...