山本周五郎
デカルトは『よく隠れたる者こそよく生きた者である』との言葉を座右銘としたらしい。此の作品は、此のデカルトの座右銘を彷彿とさせるものでした。平凡な日々の仕事を黙々と成し遂げる事が社会を真に支えている。
今もこの心持ちで生きている人達が多くいる。でも恐らくは、今も昔も日が当たらず世には出ない。何の悪いことがあるだろうか…
21世紀の日本人にはこの心はなかなか分からない。 きれいごとというか違和感すら感じる。 でもこの短編が昭和19年に書かれたものと知ると、なるほどなぁと腑に落ちる。