山本文学には珍しいお気楽な読み物。 好きです。できるならこの手のものを半分以上書いて欲しかった。 読んでてあまりにも苦し過ぎるものが多いと感じるのは私だけだろうか。
自分はユーモア小説として楽しく読んだ。 主人公の杢助は正真正銘どうしようもない人物だが、大先生の飯篠長威斎、大豪傑の岩見重太夫、修行に来て勝手に会得して去った侍たち、それから代々のお登目様たちも、この世にうろうろ生きている人間たちはみな大したことない偽物だ。 それをユーモアとともに書いたものがこの物語というわけだ。
世間の評価と言うものの危うさを述べた秀作である。